夜中に突然、ふくらはぎが「ピキーン!」と収縮し、激しい痛みで目が覚める。
そんな辛い「足のつり(こむら返り)」を経験したことはありませんか?
一度だけでなく何度も繰り返すため、夜眠るのが怖くなってしまったり、「もしかして何か重大な病気の前触れでは?」と不安に感じたりしている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、足がつる原因や対処法などについて詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
足がつる(こむら返り)の本当の原因は「神経の誤作動」だった
「足がつるのは、水分やミネラルが足りないから」とよく耳にしますが、実はそれだけが原因ではありません。
足がつる主な原因は「神経系の制御異常」、つまり神経の誤作動であると考えられています。
私たちの筋肉は、脳や脊髄からの神経信号によって「縮む」「緩む」をコントロールしています。
例えるなら、筋肉に「縮んで!」と命令を出すアクセルと、「緩んで!」と命令を出すブレーキが、精巧なバランスで働いているようなものです。
しかし、何らかのきっかけでこの制御システムが混乱し、ブレーキが効かずにアクセルが過剰に踏み込まれ続けることがあります。
これが、自分の意思とは関係なく筋肉が異常に収縮し続け、激しい痛みを引き起こす「足のつり」の正体です。
神経の誤作動を引き起こす5つの要因
では、なぜ神経の制御システムは誤作動を起こしてしまうのでしょうか。
その引き金となる、私たちの身近に潜む主な要因は5つあります。
- 1. 水分・ミネラル不足
筋肉や神経が正常に働くためには、マグネシウム、カリウム、カルシウムといったミネラルが不可欠です。
汗をかくことで水分と一緒にこれらのミネラルが失われると、神経の信号伝達がうまくいかなくなり、誤作動が起きやすくなります。 - 2. 筋肉の疲労
激しい運動や普段使わない筋肉を酷使すると、筋肉内に疲労物質が溜まります。
これにより、筋肉の伸び縮みを感知するセンサーの感度が鈍り、異常な収縮命令が出やすくなります。 - 3. 血行不良・冷え
体が冷えたり、長時間同じ姿勢でいたりすると血行が悪くなります。
すると、筋肉に十分な酸素や栄養が届かず、老廃物が蓄積して筋肉が硬直し、けいれんを起こしやすい状態になります。 - 4. 加齢による機能低下
年齢を重ねると、筋肉量が減少するだけでなく、神経や筋肉のセンサー機能も自然と衰えてきます。
そのため、若い頃は何でもなかったような些細なことで、神経と筋肉の連携バランスが崩れやすくなるのです。 - 5. 特定の薬の副作用
高血圧の薬(利尿薬など)や脂質異常症の薬など、一部の薬は体内の水分やミネラルバランスに影響を与え、副作用として足のつりを引き起こすことがあります。
睡眠中や朝方に足がつりやすい理由
多くの方が経験するように、足のつりは特に夜間や早朝の睡眠中に起こりやすい傾向があります。
これには、睡眠中の体の状態が大きく関係しています。
まず、人は寝ている間にコップ1杯分(約200ml)もの汗をかくと言われています。
この無意識の寝汗によって、体内の水分とミネラルが失われ、神経が誤作動を起こしやすい状態になります。
また、深夜から明け方にかけては1日のうちで最も体温が低くなる時間帯です。
体温が下がると血管が収縮し、特に心臓から遠い足先の血行が悪化しやすくなります。
血行不良で硬くなった筋肉は、けいれんを起こす寸前の状態にあるのです。
さらに、睡眠中は長時間同じ姿勢でいることが多いため、体の重みで足の血管が圧迫され、血流が滞りがちです。
そんな状態で、朝方に無意識に「ぐーっ」と布団の中で伸びをした瞬間、急激に筋肉が収縮することで、神経の誤作動の引き金が引かれてしまうのです。
足がつった時の正しい対処法
突然の激痛でパニックになりそうになりますが、そんな時こそ落ち着いて正しく対処することが大切です。
以下の3ステップを実践してみてください。
- あわてずに安全な姿勢になる
まずはベッドから落ちたり転んだりしないよう、ゆっくりと座るなど安全な体勢をとりましょう。 - つった筋肉をゆっくり伸ばす
ふくらはぎがつった場合は、床に座って脚を伸ばし、つま先をゆっくりと自分の体の方へ引き寄せます。
壁に手をつき、つった方の足を後ろに引いてアキレス腱を伸ばす方法も有効です。
「痛気持ちいい」と感じる程度で、30秒ほどキープしましょう。 - 優しくマッサージまたは温める
痛みが少し和らいだら、けいれんした部分を優しく揉みほぐしたり、蒸しタオルなどで温めたりして血行を促しましょう。
筋肉の緊張がほぐれ、痛みが楽になります。
悪化させる可能性のある間違った対処法
痛みを早く止めたい一心で、かえって症状を悪化させてしまう行動があります。
以下の点は避けましょう。
- 急に強く伸ばす、反動をつける
筋肉を傷つけ、肉離れを起こす危険があります。
必ず「ゆっくり」「じんわり」伸ばすことを意識してください。 - 力まかせに動かそうとする
無理に動かすと、筋肉の過剰な収縮をさらに助長してしまいます。 - 冷やす
肉離れと違い、筋けいれんの場合は冷やすと血管が収縮して血行をさらに悪化させ、回復を遅らせる可能性があります。
くり返す足のつりを根本から予防する5つの生活習慣
つってからの対処も大切ですが、さらに大切なのは「つらない体づくり」です。
日々の生活習慣を少し見直すだけで、足のつりは大幅に予防することができます。
今日から始められる5つの習慣をご紹介します。
①水分補給のポイント|いつ・何を・どれくらい飲む?
ただやみくもに水を飲めば良いというわけではありません。
効果的な水分補給にはコツがあります。
特に「就寝前」「起床後」「入浴前後」「運動前後」は、体が水分を失いやすいタイミングなので意識的に補給しましょう。
飲み物は、基本的には水やカフェインの入っていない麦茶などがおすすめです。
たくさん汗をかいた後は、ミネラルも同時に補給できるスポーツドリンクや経口補水液も活用しましょう。
「のどが渇いた」と感じる前に、1日1.5リットルを目安にこまめに飲むことが理想です。
②食事の見直し|マグネシウム・カリウムを多く含む食べ物リスト
筋肉や神経の働きを正常に保つには、ミネラルのバランスが欠かせません。
特に不足しがちなマグネシウム、カリウム、カルシウムを多く含む食品を、日々の食事に積極的に取り入れましょう。
栄養素 |
主な働き |
多く含む食品の例 |
マグネシウム |
筋肉の弛緩(緩むこと)を助ける |
ナッツ類、大豆製品(豆腐・納豆)、海藻類、玄米 |
カリウム |
神経の信号伝達をスムーズにする |
バナナ、アボカド、ほうれん草、さつまいも |
カルシウム |
筋肉の収縮を調整する |
牛乳、ヨーグルト、小魚、小松菜、豆腐 |
特定の食品に偏るのではなく、様々な食材からバランス良く栄養を摂ることが大切です。
③体を温めて血行を促す工夫
「冷え」は血行不良を招き、足がつる大きな原因になります。
日常生活の中で体を温める工夫を心がけましょう。
- ぬるめのお湯でゆっくり入浴
シャワーで済ませず、38~40度程度のぬるめのお湯に15分ほど浸かりましょう。
体を芯から温めることで血行が促進され、心身ともにリラックスできます。 - 足元を冷やさない服装
夏場の冷房が効いた室内では靴下やレッグウォーマーを活用しましょう。
体を締め付けるきつい服装は血行を妨げるため、就寝時はゆったりとしたパジャマを選ぶのがおすすめです。
④【漢方薬】予防として「芍薬甘草湯」も選択肢に
足のつり(こむら返り)の改善や予防には、漢方薬が用いられることもあります。
特に「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」は、筋肉の急なけいれんや痛みを和らげる効果で知られています。
つりやすい方が予防的に服用したり、つってしまった時の頓服薬として使われたりします。
ただし、体質によっては合わない場合や、まれに副作用が起こる可能性もあります。
自己判断で服用せず、必ず医師や薬剤師に相談の上、適切に使用するようにしてくださいね。
もしかして病気のサイン?足のつりの裏に隠れた危険な病気
「たかが足のつり」と軽く考えてしまいがちですが、頻繁に繰り返す場合は注意が必要です。
その症状の背後に、次のような病気が隠れている可能性があります。
- 代謝・内分泌系の病気:糖尿病、甲状腺機能低下症など
- 血管系の病気:閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤など
- 内臓の病気:肝硬変、腎不全など
- 神経・脊椎の病気:脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど
これらの病気は、神経障害や血行不良、ミネラルバランスの異常などを引き起こし、結果として足のつりを頻発させることがあります。
不安を煽るわけではありませんが、体からの重要なSOSサインである可能性も知っておくことが大切です。
足のつりでお悩みの方は『めう整体院』にご相談ください!
この記事では、足がつる原因や対処法などについて詳しくご紹介しました。
足がつった瞬間は痛みで動けないかもしれませんが、楽な姿勢をとって、適切に対処するようにしてくださいね。
もし現在、足のつりでお悩みの方は『めう整体院』にご相談ください。