「趣味のランニングを楽しんでいる最中に、ズキッとした痛みが…」
「朝、ベッドから出て最初の一歩を踏み出すのが怖い」
そんなアキレス腱の上の痛みにお悩みではありませんか。
この記事では、アキレス腱の上が痛い原因や対処法などについて詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
アキレス腱の上の痛みセルフチェック
まずは、ご自身の症状を客観的に把握してみましょう。
以下の項目にいくつ当てはまるかチェックすることで、痛みの状態や緊急性を判断する手がかりになります。
症状でチェック
まずは、どのような症状が出ているか確認しましょう。
- 運動中や運動後にアキレス腱の上が痛む
- アキレス腱の上あたりを押すと痛い
- 痛みのある部分が腫れている、または熱を持っている
- 朝起きたとき、歩き始めに特に痛みが強く、こわばりを感じる
- 触ると硬いしこりのようなものを感じる
痛むタイミングでチェック
次に、どのような時に痛みを感じやすいか確認します。
- 走り始めは痛いが、体が温まると楽になる
- 運動を終えてクールダウンすると痛みがぶり返す
- 長時間座った後、立ち上がって歩き出す時に痛む
- 階段の上り下りや坂道で痛みが強くなる
危険サイン?専門家に相談すべきサイン
もし以下の症状が1つでも当てはまる場合は、アキレス腱断裂など重篤な怪我の可能性があります。
セルフケアで様子を見ずに、すぐに専門家に相談してください。
- 「ブチッ」「バシッ」という断裂音や衝撃を感じた
- 痛みが非常に強く、体重をかけることができず歩けない
- つま先立ちができない
- 痛みのある部分に明らかなへこみがある
アキレス腱の上が痛い原因は?
セルフチェックで緊急性がないと判断できたら、次に痛みの原因を探っていきましょう。
アキレス腱の上の痛みの多くは、1つの原因だけでなく、複数の要因が絡み合って発生します。
ご自身の生活習慣や運動習慣と照らし合わせながら、原因を考えてみましょう。
原因①使いすぎによる炎症「アキレス腱炎」「アキレス腱周囲炎」
最も一般的な原因は、ランニングなどの繰り返しの負荷による「オーバーユース(使いすぎ)」です。
急に練習の距離を伸ばしたり、練習の頻度を増やしたりすると、アキレス腱がその負荷に対応できずに炎症を起こしてしまいます。
この炎症には、主に2つの種類があります。
- アキレス腱炎:アキレス腱そのものに微細な傷がつき、炎症が起きている状態です。
- アキレス腱周囲炎:アキレス腱を包んでいる「パラテノン」という薄い膜状の組織が炎症を起こしている状態です。
どちらも症状は似ていますが、アキレス腱そのものより、その周辺組織に炎症が起きているケースが多く見られます。
原因②ふくらはぎの柔軟性低下
ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)は、アキレス腱につながっています。
そのため、この筋肉が硬く、柔軟性が低下していると、歩いたり走ったりするたびにアキレス腱が強く引っ張られ、大きな負担がかかります。
まるで硬くなったゴムのように、衝撃をうまく吸収できずに傷つきやすくなってしまうのです。
日頃のストレッチ不足や、長時間のデスクワークで筋肉が凝り固まっている方は特に注意が必要です。
原因③ランニングフォームや合わない靴
自分では気づきにくいですが、ランニングフォームが原因でアキレス腱に負担をかけている場合もあります。
例えば、かかとで強く着地するフォームや、足首が内側に倒れ込みすぎる「オーバープロネーション(回内足)」は、アキレス腱にねじれのストレスを加えてしまいます。
また、靴も重要な要因です。
クッション性が低い靴や、かかと部分のフィット感が悪い靴、靴底がすり減ったシューズを履き続けていると、着地の衝撃が直接アキレス腱に伝わり、痛みを引き起こす原因となります。
原因④加齢による腱の変化
30代を過ぎると、徐々に腱の性質も変化してきます。
加齢に伴い、腱のコラーゲン線維の質が変化し、水分量が減少するため、腱の弾力性や強度が少しずつ低下していきます。
これにより、以前は問題なかった運動量でも、腱が傷つきやすくなることがあります。
これは誰にでも起こりうることですが、だからこそ年齢に合わせた適切なケアがより重要になってくるのです。
痛みを今すぐ和らげる!正しいセルフケア
痛みを感じたら、まずは炎症を悪化させないことが最優先です。
ここでは、ご自身でできるケアと、痛みが少し落ち着いてから行うべきセルフケアをご紹介します。
基本は「RICE」で炎症を抑える
運動後などに強い痛みや熱っぽさを感じた場合、ケアの基本である「RICE」を行いましょう。
方法 |
内容 |
具体的な方法 |
Rest (安静) |
運動を中止し、患部を休ませる |
痛みを感じるランニングやジャンプなどの動作は避けましょう。 |
Icing (冷却) |
患部を冷やして炎症と痛みを抑える |
氷のうや冷却パックをタオルで包み、1回15〜20分を目安に1日数回冷やします。 |
Compression (圧迫) |
患部を軽く圧迫して腫れを防ぐ |
弾性包帯やサポーターで軽く圧迫します。しびれが出るほど強く巻かないように注意してください。 |
Elevation (挙上) |
患部を心臓より高く上げて腫れを軽減する |
座っている時や寝る時に、クッションや座布団の上に足を乗せましょう。 |
痛みが落ち着いたら|ストレッチとマッサージ
ズキズキとした強い痛みが和らいできたら、硬くなったふくらはぎの筋肉をほぐしていきましょう。
ただし、痛みが強い急性期に行うと逆効果になることもあるため、無理のない範囲で慎重に行ってください。
▼ふくらはぎを伸ばすストレッチ
ふくらはぎの筋肉は2層構造になっています。両方の筋肉をしっかり伸ばすことがポイントです。
- 腓腹筋(ひふくきん)のストレッチ
- 壁の前に立ち、両手を壁につきます。
- 痛い方の足を大きく後ろに引き、かかとを床につけます。
- 後ろ足の膝を伸ばしたまま、ふくらはぎの上の方が伸びるのを感じながら30秒キープします。
- ヒラメ筋のストレッチ
- 上記と同じ姿勢から、後ろ足の膝を軽く曲げます。
- かかとは床につけたまま、ふくらはぎの下からアキレス腱にかけて伸びるのを感じながら30秒キープします。
▼ふくらはぎをやさしくほぐすマッサージ
硬くなったふくらはぎの筋肉を優しくほぐし、血行を促進させましょう。
注意点として、痛みのあるアキレス腱そのものを直接強く揉むのは避けてください。
- 椅子に座るか床に座り、片方の膝を立てます。
- 両手の親指を使い、すねの骨の少し外側からふくらはぎの筋肉を優しく押していきます。
- 気持ち良いと感じる程度の強さで、足首側から膝裏に向かってゆっくりとほぐしましょう。
アキレス腱をサポートするテーピング
テーピングは、アキレス腱にかかる負担を軽減し、筋肉の動きをサポートする効果が期待できます。
伸縮性のあるキネシオロジーテープを使い、かかとからふくらはぎに向かって、アキレス腱を支えるように貼りましょう。
ランナーの疑問「走ってもいい?」痛みのレベル別判断基準
ランナーにとって最も気になるのが「いつから走れるのか」ということでしょう。
痛みを我慢して走り続けると、症状が悪化し、回復が長引くだけでなく、アキレス腱断裂のリスクも高まります。
以下の基準を参考に、慎重に判断してください。
痛みのレベル |
推奨される行動 |
注意点 |
レベル1:安静時も痛い |
ランニング完全中止 |
日常生活でも負担をかけないように安静を心がける。 |
レベル2:歩くと痛い |
ランニング中止 |
痛みのない範囲での軽いストレッチや上半身のトレーニングは可。 |
レベル3:走ると痛いが歩行は問題ない |
ランニング中止 |
ウォーキングや水泳など、アキレス腱に負担の少ない運動に切り替える。 |
レベル4:違和感がある程度 |
慎重に再開を検討 |
距離やペースを普段の半分以下に落とし、痛みが出ないか確認しながら走る。 |
運動を再開する際は、入念なウォーミングアップと運動後のクールダウン(ストレッチとアイシング)を徹底しましょう。
少しでも痛みが出たら、すぐに中止する勇気が大切です。
アキレス腱の痛みを予防する3つの習慣
痛みが改善したら、次は再発させないための体づくりが重要です。
以下の3つの習慣を日々の生活に取り入れ、アキレス腱に優しいランニングライフを送りましょう。
- シューズを見直し、インソールを活用する
自分の足に合ったシューズを選ぶことが基本です。かかとをしっかり固定してくれる「ヒールカウンター」が硬めのもの、クッション性が十分にあるものを選びましょう。また、専門店で足の形を測定してもらい、必要であればアーチを支えるインソールを活用するのも非常に効果的です。 - ストレッチと筋トレを習慣にする
運動前後のストレッチはもちろん、お風呂上がりなど体が温まっている時にふくらはぎのストレッチを行う習慣をつけましょう。さらに、かかとを上げ下げする「カーフレイズ」のような簡単な筋トレでふくらはぎを鍛えることも、アキレス腱への負担を減らすために重要です。 - トレーニング計画を管理する
「早く元の走りに戻りたい」と焦る気持ちは分かりますが、急激な運動量の増加は再発の最大の原因です。走行距離を伸ばす際は、週に10%以内を目安に少しずつ増やしていく「10%ルール」などを参考に、無理のない計画を立てましょう。
アキレス腱の痛みでお悩みの方は『めう整体院』にご相談ください!
この記事では、アキレス腱の上が痛い原因や対処法などについて詳しくご紹介しました。
アキレス腱の上の痛みを軽視せず、まずは安静と冷却で炎症を抑え、痛みが落ち着いたらストレッチなどのセルフケアを行いましょう。
そして、痛みの原因となった生活習慣やトレーニング内容を見直し、継続的な予防に取り組むことが何よりも大切です。
もし現在、アキレス腱の痛みでお悩みの方は『めう整体院』にご相談ください。動きやすい体づくりを一緒にしていきましょう。